横浜丸中青果株式会社(以下、横浜丸中青果)は横浜市中央卸売市場の青果物卸売業者として、全国の産地や商社から生鮮食料品を集め、市場内の仲卸業者や小売業者などに販売を行っています。営業スタッフはお客さまや業者さんと密なコミュニケーションをとる際に個人所有のスマートフォンを使用することが常態化しており、セキュリティ面から課題認識をしていました。また、場内PBXの老朽化による部品供給終了に伴う機能維持リスクが上昇していたため、ConnecTalkを用いた電話環境に刷新。さらにPHSをiPhoneに置き換えることで、既存の複雑に組まれた構成を崩すことなく利便性の高い環境を構築することに成功しました。
「フレキシブルかつ複雑に構成していた電話機能を維持したまま、ConnecTalkによる柔軟な電話環境構築に成功しました。また、社員待望のiPhone導入により、セキュリティリスクを回避することもできました」
横浜丸中ホールディングス株式会社 管理部 本社・南部管理チーム チームリーダー 茨田 隆樹 氏
神奈川県内で最大規模の青果卸売会社として、全国の生産者や商社から青果物を集荷し、仲卸業者や小売業者に販売している横浜丸中青果株式会社は「日本の農業を活性化し、 日本の食を守ります」という経営理念のもとに、神奈川県全域の食卓を支える青果物卸売業者として、安心して食べられる新鮮な野菜や果物の安定供給に取り組んでいます。
同社が事業を行っている横浜市中央卸売市場本場青果部内ではPBX設備の老朽化が進んでおり、部品供給が終了してしまうことによる機能維持のリスクが高まっていました。また、NTT東日本のINS1500サービス終了に伴う代替サービスの検討も必要となったほか、LINEの業務利用に対する従業員要望の増加などもあり、電話回線の整理と最適化や業務効率化といった多岐にわたる課題を抱えていました。また、場内で業務を行うスタッフは会社が貸与したPHSと携帯電話、個人所有のスマートフォンの3台持ちをしており、運用効率の低下、社給電話費用の二重発生といった課題も認識していました。
「真っ先に取り組む必要があったのはPBXの入れ替え問題でした。ほかにも携帯電話のiPhone化の検討と固定電話回線のINS1500サービス終了通知があり、新しい光回線への変更の検討が必要でした。それに併せて今あるPBXの今後の運用方針をPBX利用の場内業者と共に協議し、入れ替えするかやめるかを選択する必要があるという状況で、目の前に課題が山積みの状態でした」(茨田氏)
以前からこうした課題を認識していた同社ですが、当時の電話管理担当者は、日々の忙しさや実施リスクの高さ、 社内コンセンサスを得るためのハードルの高さなどがあり、 大規模な通信機器入替についてはなかなか具体的なところまで 踏み込めない状態だったそうです。その後、茨田氏が引き継いで担当となった際、タイミングよくソフトバンクの営業からの提案もあり、解決に向けて取り組む決意をしたそうです。
※用語解説
INS1500:ISDN回線のひとつで銅線(メタルケーブル)ではなく光ファイバーを媒体に使用したデジタル回線。1回線で同時23通話が可能な電話回線のため、多数の回線を必要とする場所で多く導入されているが、2024年8月31日に新規/移転申込受付を終了し、2028年12月31日をもってサービス提供を終了する。
電話環境の見直しを決めた同社。しかし社内の電話環境の構成や詳細設定を把握している人がおらず、まずは現状を理解して把握することが必要でした。思ったより複雑であらゆる機能が組み込まれている構成に対応するために、ひとつずつ丁寧に課題に対峙し、導入まで段階的なステップを踏まれたそうです。
「まず、2018年上期に情報収集と回線環境の調査を行いました。導入にあたって最も注意しなければならなかったのは、事故や稼働停止を絶対に発生させないことでしたので、携帯電話や内線、交換機の仕組みを理解し、運用範囲を確実に把握することが求められ、中でも変更時の影響度を考察し、検証することがとにかく大変でした。契約書をひっくり返して、過去から受け継がれてきた一覧表を確認しても、それが果たして本当に合っているのかも分からないので、当時200から300回線ほどあったのですが、そこから更新漏れなどがないかを全て洗い出して、それでも分からない回線は実際にひとつずつ電話を鳴らして、回線状況の確認をとっていきました」(茨田氏)
導入を進めるにあたって、それぞれの事業所の電話管理担当者は事業所内の案件に追われている状態だったため、茨田氏は手探りで状況確認を進めていったそうです。
「その後、2018年下期から2019年にかけて、提案・効果・リスクの検証を行いました。2020年度上期には社内稟議とコンセンサスを取得し、2020年度下期には携帯電話・PBXの入替、そしてConnecTalkの導入を実施しました。このプロセス全体は約3年にわたり、非常に詳細な検討と準備を行いました。社内の各部署から合意を取りつける調整もなかなか苦労し、ソフトバンクの営業担当やベンダーを巻き込んでこつこつ対応を進め、データ回線敷設・切り替え時は夜中までソフトバンクの営業担当と作業をしました。ひとつ解決し、次に必要なことは何かということをソフトバンクさんに提案してもらい、長いプロセスにおいて伴走してもらったイメージです」(茨田氏)
導入時期には、運用変更点に対応したマニュアルや手順書の作成、そして従業員への説明を事前に行ったので、実際に利用するスタッフから特に大きな不満や混乱はなくスムーズに進められたそうです。
ConnecTalkを選定するにあたっての決め手について伺いました。
「『ConnecTalk』を導入すると決めた理由のうち、最も重要だったのは入替前の運用と比較して影響度が少ないことでした。また、他社と比較して全体的なコストメリットが得られた点もよかったです。既存のPHS導入会社からの提案があり、他社サービスとも比較をしたのですが、最終的にソフトバンクさんが提供するiPhone端末の供給安定性と、弊社システム部門との合意形成がしっかりとれたことが決め手となりました。会社全体の意見がひとつにまとまったので、比較検討にそれほど時間はかかりませんでした。結果、従来の運用を大きく変えずに、問題なく新しいシステムへ移行することができました」(茨田氏)
iPhoneの活用はセキュリティ面の向上という意味でも必要な要因だったとのことです。
「営業スタッフは出荷者さまとは携帯電話でやりとりし、場内にいる仲卸業者さんとはPHSでコミュニケーションをとります。当時LINEでやりとりするのが主流となっていたのですが、社給携帯はガラケー(いわゆる従来型携帯電話)だったため、個人所有のスマートフォンで連絡を取り合うことが常態化していました。業務上必要なのでLINEを禁止することはできなかったのですが、個人端末を利用することでのセキュリティ上のリスクを懸念していたので、会社からスマートフォンを貸与する必要性を強く感じていました」(茨田氏)
多くの課題に直面していた同社ですが、ConnecTalkの導入によって、既存の複雑な機能や構成を失うことなく電話環境を移行することができました。また、同時にiPhoneを導入したことで、営業スタッフの端末複数台所有が不要となり、利便性が向上しただけでなく、管理側としても、電話環境の整備と管理が徹底でき、セキュリティ面でも安心できるようになりました。
ConnecTalk導入後、実感されている効果について伺いました。
「今までのフレキシブルな使い方をそのまま移行できた点が1番大きなメリットです。また、内線管理をベンダーに頼まずに自分たちで行えるようになった点もとても助かっています。番号付け替えなど設定変更のたびにベンダーに依頼していたので、手間や工数が大幅に削減されて業務効率があがったと実感しています。また、iPhoneへの移行もスムーズに行われ、従来の業務フローを大きく変えることなく、新しいシステムに適応できたのもよかったです。
今まで使っていたPHSの置き換えという使い方をしているので、使い勝手については特に各段によくなったという認識はないかもしれませんが、当時から自動転送などをはじめ相当フレキシブルな動きをとっていたので、そのとき使っている機能をいかに失くさずに、かつ管理しやすい機能はしっかりと残したい、というのが我々管理側の希望でした。ConnecTalkの導入によって、希望通り既存の機能は現状維持できました。我々が言うのもなんですが、相当複雑な構成を組んでいたと思います。その機能を失うことなく新しく構成していただけたのは本当に助かりました。さらに希望を言うとしたら、iPhoneのConnecTalkのアプリの使い勝手がもう少しよくなるとうれしいですね」(茨田氏)
セキュリティ面においても効果を伺いました。
「端末3台持ちからiPhone1台になった点については、スタッフはもちろん管理側としても管理しやすくなったのでよかったです。複数台所有して業務を行うことによって端末紛失や落下による故障などが頻発していたので、安全性が向上しました。また、個人所有のスマートフォンではなく社用のスマートフォンを利用することで、個人情報を漏えいするリスクもなくなり、セキュリティが確保できて安心です」(茨田氏)
今後、同社では電話やFAX、紙媒体などの「情報」を有効活用し、業務効率化をさらに推進していく予定とのこと。AI技術を活用し、DXを進めていきたいと語ってくれました。
「社内ではいまだに紙を大量に使用したり、受信したFAXを仕分けするなどアナログ業務の部分が多いんです。取引先の多くも紙文化なので、なかなか自社側だけでDXを推進することが難しいのですが、今後はAIを使って人手を介さずに自動化できるような仕組みづくりなどDXを進めていきたいと考えています。社内ではAI活用することについて認識が徐々に浸透してきているので、今後はさらにこの流れにのってAI活用で業務効率化を推進していきたいです」(茨田氏)
「ConnecTalk(内線)によって、固定電話と離れた距離にいてもわざわざ移動せずに電話を受けられる点はとても効率のよさを実感しています。また、日常業務においても徐々に作業工程の効率化を進めたりして日々業務改善を繰り返し取り組んでいます。今後は、総務業務全般のQ&Aを生成AIで対応できる仕組みにしてみたいと考えています。いかに管理部門と従業員の負担を減らせるか、といった視点でAI活用をしてみたいです。AIに関しては、社内に取り入れるのにはハードルが高いのですが、徐々に進めていきたいと考えています」(山﨑氏)
さらなる業務効率化やDX推進の取り組みが期待される同社。DX委員会を設置して、技術のコンサルティングなど教育研修を実施し、社員のスキルアップにも力を入れているとのことです。今まさに会社全体でDX推進の風が吹き始めており、今後の展開が非常に楽しみです。
拠点間の内線通話をシームレスにつなげたり、外出先でもオフィスの電話を受発信できます。PBXのクラウド化により初期投資を抑え、高音質なVoLTEを活用することで安定性のある通話環境を構築します。既存PBXとの接続も可能なため、拠点ごとの段階的なクラウド化も実現できます。
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